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CANDLE OF THE DEAD

卑屈で後ろめたい日々のカリソメ・ブログ

2009年

09月05日

(土曜日)

またまた『マーターズ』

また観た。

前提がヘンだったり設定的に弱いところもあるけど、それを補って余りあるってやつですよ。
『ハイテンション』のシンプルさの裏にある悲劇も超好きだけど、こっちの難解っぷりもいい。



以下、ネタバレ(ジョギング中に考えた)





虐待監禁から逃げた少女リュシーは、15年後に自分を酷い目に遭わせた一家に見事復讐を果たすも、ひとり逃げ出してしまった罪悪感からきてるくさい"死んだ女"の幻覚によって自殺(ひとり『BUG』状態)。端から見ればひどい自傷症。でも彼女は最後まで犠牲者として闘ったんだと思う。同じように監禁されてた"ゴキブリ"幻覚女も壁に頭ごりごりして抵抗していた。でも最後までただの被害者でしかなかった(実際に被害者なんだけど)。

その後、彼女等を監禁してた闇の組織が登場。リュシーを助けようと追ってきた親友アンナも監禁される。
超すごい素質を持つアンナの前に、拷問の末に現れたのは「苦痛を受け入れなさい」という死んだマブダチ・リュシーの幻聴。漫画『ブラッドハレーの馬車』でも幻の友人の声が救うという似たシチュエーションがあるけど、「もうちょっとだから頑張って堪えろ」というのではなく能動的。アンナの中で被害者意識がぶっとび、酷い状況を受け入れ、最終段階の全身皮剥もこなしついには"変容"する。アンナが監禁される前に組織の目的がうっすら伝わってるのもポイントなのかも。リュシーのケースとは逆に「救うために超努力した」という後ろめたくない感覚により醜い幻覚や幻聴を回避した気もする。狂った親友ばかりか見た目ショッキングなゴキブリ女をも助けようとする裏表がない慈愛に満ちた強さはすごい。こういう出来すぎな人が一番無意識に人を不幸にしそうなもんなんだけど。

マドモワゼル率いる怪しい組織が待ち望んだアンナの見たっぽい"死後の世界"は光の波紋みたいなもので描かれる。それを伝えられたマドモワゼルは、分厚い化粧やヅラをとりながら側近っぽいジジイに「死後の世界はあった。それは解釈の余地もない」と言い、最後に「疑いなさい」という言葉を付けくわえて拳銃自殺。
最初は、アンナの見たその内容に絶望、楽しみに待ってる現世に希望を見いだせない組織のみんな(多分スポンサー程度の道楽者共なので見下してる)にはとても伝えられないし、自分の罪を認めて死んだと受け取ったんですが、バッグに拳銃を忍ばせていたので、元々何が見えたと伝えられても死ぬつもりだった気もする(独り占め)。
個人的にはみんな共通の死後の世界なんてふざけたものはないと思うし、脳内イメージなんてそう簡単に他人に伝えられるものじゃないと思うので、アンナしかわかり得ない理解不能な事言われ絶望を悟った結果ってのがしっくりくる。でもマドモワゼルは"死後の世界"に強く執着してるくらいすでに生に絶望を抱いているんだから、やっぱりアンナが見た世界は夢も希望もなく、存在を消してしまいたくなるほどハッキリとしたものがあったんだと思う。でもそうすると最後の「疑いなさい」の意味がおかしいので振り出しに戻るのでした。バアさんの心の闇は楽しいぜ。キラキラと光り輝く楽園に逃避したってのがテーマ的に一番あり得ないと思う。

1回目の時「希望を持つことはショボイ」と思ったんですが、犠牲者が生まれやすい社会の中で、被害妄想や周りに期待しまくり振り回される犠牲者ぶった人が多くなり悪循環。犠牲者を生むのは簡単だけど、被害者である自分のことをある一面では加害者かもしれないときちんと認識・追求することで負のスパイラルを少しでも止めることができるんじゃないの、という希望をちょこっと感じました。復讐の連鎖を止めるとか大げさなものでなくもっと現実的で日常的なところで、いかなる他人とも傷つけ合ってる感覚を持つ。監督はなんでも被害者ヅラし過ぎるだめな状況に絶望してるんだと映画とパンフ見て感じたし、自分もそう思う。この映画の楽しくない暴力描写なんて飾りですよ。


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急に厚化粧が恥ずかしくなったマドモアゼルさん



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