CANDLE OF THE DEAD
日々のカリソメ・ブログ
2016年
12月30日
(金曜日)
2016映画ベストテン
年末ということで記録。
1.無垢の祈り
2.リップヴァンウィンクルの花嫁
3.ドロメ 男子篇/女子篇
4.ノック・ノック
5.ライチ☆光クラブ
6.淵に立つ
7.ヒメアノ~ル
8.フィッシュマンの涙
9.クリーピー 偽りの隣人
10.ゴーストバスターズ
次点:
コップ・カー
LOVE【3D】
貞子vs伽椰子
1.無垢の祈り
2.リップヴァンウィンクルの花嫁
3.ドロメ 男子篇/女子篇
4.ノック・ノック
5.ライチ☆光クラブ
6.淵に立つ
7.ヒメアノ~ル
8.フィッシュマンの涙
9.クリーピー 偽りの隣人
10.ゴーストバスターズ
次点:
コップ・カー
LOVE【3D】
貞子vs伽椰子
2016年
12月11日
(日曜日)
『無垢の祈り』
いじめ・虐待でどこにも居場所がない絶望した女の子が、近所の廃工場とかで起きてる連続殺人事件の殺人鬼にひたすら会いたがるお話。
一部グロテスクなシーン(殺人犯による解体)があるけど、内容は全篇、虐待されている女の子フミの心象風景です。
フミを演じるのが唯一手を上げたスターダストの福田美姫。性的虐待描写もあるこんな役をよく受けましたね、と義父役をやったBBゴローさんが仕事で関わりのあるももいろクローバーZのマネージャーに聞いたところ「無名の子役が芦田愛に対抗するにはインパクトのある役をやるしかない」的な答えが返ってきたそうです。スターダストちょーエライ!
義父からの暴力で痣だらけ、風呂でねちねち説教、さらに性虐待で心身ともにズタボロになる役柄を当時9歳が演じているので撮影中はもちろん撮影後も心配になりますが、撮影中は母親同伴でしっかりケアしカメラが止まると元気いっぱい、非常に衝撃的でシリアスなラストシーン撮影直前に「コアラのマーチたべたーーーーーい!」といったりお母さんもとてもエキセントリックな方で、現場では役者の分の弁当を勝手に食べていたとのこと。この頼もしさはすばらしいですね。
フミのキャラクター、一度見たら忘れられない圧倒的な眼力は「先生を流産させる会」のミヅキを彷彿させます。あちらも自主映画でカナザワ映画祭ジャパンプレミア、タイトル通りインモラルな内容で上映の危機がありました。ミヅキのバックグラウンドは劇中でほとんど語られませんが案外フミに近い境遇なのかも...と思いました。
フミはズタボロの生活から抜け出したいため母親にすがりますが、この母親もひどい旦那のせいでだいぶドン詰まっていて、よくわからない宗教にすがりカルマがどうこう言うだけで全然当てになりません。あげくには義父に性虐待されてる実の娘に嫉妬心を爆発させるというどうにもならない存在。『片腕マシンガール』『ヘルドライバー』でめちゃくちゃかっこいい悪役を演じた下村愛(穂花)がものすごい形相でフミに怒鳴り散らす姿は強烈。そこからの義父の不意打ちクラッシュのリレーコンボでもう勘弁してくれー、ってなります。
で他に頼りになりそうなのはいないのか?ってことでフミ唯一の友人っぽい若い女性のトモちゃんは車椅子だしリストカット痕が痛々しいしもし事件に巻き込まれたらナイフがあるから大丈夫とか言っている。神社に神頼みも効果なさそう、交番に駆け込むこともしない。誰にも助けを求めることができないし、しない。ようやくまともそうな刑事が出てきても「あの子は世間をケツの穴までわかっている」と言わしめてしまう。もうあとはまだ見ぬ殺人鬼しかいない。これはものすごい暗黒だ。
原作にはこの刑事の台詞はないです。刑事を演じた平山先生のアドリブらしく、よりフミの悲しみが増すいい台詞だと感じました。わたくしボロ泣き。
で、願いまくった頼みの殺人鬼はフミの前に現れるのか。タイトルの「無垢の祈り」とはどんな祈りなのか、なのですが、原作とはかなり違う凄まじいラストがご用意されていました。フミが映画の頭のほうで母親に言った「(この地獄は)いつか、終わる...?」の言葉と相まってわたくしはひどく打ちのめされました。
1回目見たとき、自分がこれまで見た映画で1番監督の悪意がスパークしてると感じた「パンズ・ラビリンス」のラストを思い出したのですが、「無垢の祈り」は2度3度見るうちにそれをちょっと超えちゃってると思いました。
「パンズ・ラビリンス」は主人公オフェリアの空想パートと現実パートがそこそこはっきりしているのでとてもわかりやすく、ラストで主観的に救われる分、全部を見せられた客はショックが大きいのですが、「無垢の祈り」はそこがあいまいで、決して終わらない地獄のように感じさせられました。
ここからすごくネタバレ
倉庫にチャリで乗り付けたフミが扉を開けようとするところで、トイレで殺人鬼が被害者を解体してるのがカットバックで入り、物音で誰かの存在に気づくようなそぶりを見せる。新聞やニュースの情報で廃墟を回っているフミが同時に殺害現場に行くのはおかしいので別の場所かなぁ、と冷静にかんがえればそう思うんですが、すごいスリリングです。
冒頭おっさんにイタズラされるところと、中盤くらいに殺人鬼とすれ違うシーンでフミは左目に眼帯をして頭にガーゼを貼っています。ラストで義父に左眼をつぶされ、殺人鬼の一撃を喰らった後で時系列をシャッフルさせているとも取れます。冒頭のおっさんは置いておいて、殺人鬼とすれ違うところは1度会っててアレは不自然なのでちょっと意図がわかりません。生き延びたフミが頭の中で理想の殺人鬼像にしただけな気もします。
フミが訪れる殺害場所である廃墟は屠殺場(チャリンコGET)、ビル屋上(何かを拾う)、イスのある部屋(スナック?)、倉庫(扉を開けるだけ)、人形を見た広い部屋、刑事と遭遇するところ、トイレ(倉庫と同じ場所の可能性が高い)の計6現場として、死刑執行ニュースでは7人を殺害と言っているので、ラストシーンの屠殺場2人目で計算が合いそうだけど、果たして...。
クライマックスをむかえる手前のシーンで、2015年に7人殺して、その20年後の2035年(!)に死刑執行されたというニュースが聞こえる。ということはフミは30歳くらい。あの頃の姿(一張羅)のまま殺人鬼を求めずっと徘徊していたという風に読み取れ、ぞっとしました。ここで心霊的な要素が加わり、これって無間地獄なのでは?という思いが首をもたげてきます。またそのニュースが流れているところで左眼に眼帯をした女性が首を括ろうとしています。2035年のリアルフミ?
ということで、フミの心象風景は謎の部分が点在していてなかなかすんなり1本の線につながらないのですが、虐待されてるこどもの気持ちを簡単に理解したつもりになられても困るということなのかもしれません。と、自分は受け取りました。
もうこんな児童虐待なんてどこにも無いよ、と言い切れる時がくるまで永遠にループし続ける映画なのではないでしょうか。圧倒的強度。

つい骨なしチキンTシャツを作ってしまった。
一部グロテスクなシーン(殺人犯による解体)があるけど、内容は全篇、虐待されている女の子フミの心象風景です。
フミを演じるのが唯一手を上げたスターダストの福田美姫。性的虐待描写もあるこんな役をよく受けましたね、と義父役をやったBBゴローさんが仕事で関わりのあるももいろクローバーZのマネージャーに聞いたところ「無名の子役が芦田愛に対抗するにはインパクトのある役をやるしかない」的な答えが返ってきたそうです。スターダストちょーエライ!
義父からの暴力で痣だらけ、風呂でねちねち説教、さらに性虐待で心身ともにズタボロになる役柄を当時9歳が演じているので撮影中はもちろん撮影後も心配になりますが、撮影中は母親同伴でしっかりケアしカメラが止まると元気いっぱい、非常に衝撃的でシリアスなラストシーン撮影直前に「コアラのマーチたべたーーーーーい!」といったりお母さんもとてもエキセントリックな方で、現場では役者の分の弁当を勝手に食べていたとのこと。この頼もしさはすばらしいですね。
フミのキャラクター、一度見たら忘れられない圧倒的な眼力は「先生を流産させる会」のミヅキを彷彿させます。あちらも自主映画でカナザワ映画祭ジャパンプレミア、タイトル通りインモラルな内容で上映の危機がありました。ミヅキのバックグラウンドは劇中でほとんど語られませんが案外フミに近い境遇なのかも...と思いました。
フミはズタボロの生活から抜け出したいため母親にすがりますが、この母親もひどい旦那のせいでだいぶドン詰まっていて、よくわからない宗教にすがりカルマがどうこう言うだけで全然当てになりません。あげくには義父に性虐待されてる実の娘に嫉妬心を爆発させるというどうにもならない存在。『片腕マシンガール』『ヘルドライバー』でめちゃくちゃかっこいい悪役を演じた下村愛(穂花)がものすごい形相でフミに怒鳴り散らす姿は強烈。そこからの義父の不意打ちクラッシュのリレーコンボでもう勘弁してくれー、ってなります。
で他に頼りになりそうなのはいないのか?ってことでフミ唯一の友人っぽい若い女性のトモちゃんは車椅子だしリストカット痕が痛々しいしもし事件に巻き込まれたらナイフがあるから大丈夫とか言っている。神社に神頼みも効果なさそう、交番に駆け込むこともしない。誰にも助けを求めることができないし、しない。ようやくまともそうな刑事が出てきても「あの子は世間をケツの穴までわかっている」と言わしめてしまう。もうあとはまだ見ぬ殺人鬼しかいない。これはものすごい暗黒だ。
原作にはこの刑事の台詞はないです。刑事を演じた平山先生のアドリブらしく、よりフミの悲しみが増すいい台詞だと感じました。わたくしボロ泣き。
で、願いまくった頼みの殺人鬼はフミの前に現れるのか。タイトルの「無垢の祈り」とはどんな祈りなのか、なのですが、原作とはかなり違う凄まじいラストがご用意されていました。フミが映画の頭のほうで母親に言った「(この地獄は)いつか、終わる...?」の言葉と相まってわたくしはひどく打ちのめされました。
1回目見たとき、自分がこれまで見た映画で1番監督の悪意がスパークしてると感じた「パンズ・ラビリンス」のラストを思い出したのですが、「無垢の祈り」は2度3度見るうちにそれをちょっと超えちゃってると思いました。
「パンズ・ラビリンス」は主人公オフェリアの空想パートと現実パートがそこそこはっきりしているのでとてもわかりやすく、ラストで主観的に救われる分、全部を見せられた客はショックが大きいのですが、「無垢の祈り」はそこがあいまいで、決して終わらない地獄のように感じさせられました。
ここからすごくネタバレ
倉庫にチャリで乗り付けたフミが扉を開けようとするところで、トイレで殺人鬼が被害者を解体してるのがカットバックで入り、物音で誰かの存在に気づくようなそぶりを見せる。新聞やニュースの情報で廃墟を回っているフミが同時に殺害現場に行くのはおかしいので別の場所かなぁ、と冷静にかんがえればそう思うんですが、すごいスリリングです。
冒頭おっさんにイタズラされるところと、中盤くらいに殺人鬼とすれ違うシーンでフミは左目に眼帯をして頭にガーゼを貼っています。ラストで義父に左眼をつぶされ、殺人鬼の一撃を喰らった後で時系列をシャッフルさせているとも取れます。冒頭のおっさんは置いておいて、殺人鬼とすれ違うところは1度会っててアレは不自然なのでちょっと意図がわかりません。生き延びたフミが頭の中で理想の殺人鬼像にしただけな気もします。
フミが訪れる殺害場所である廃墟は屠殺場(チャリンコGET)、ビル屋上(何かを拾う)、イスのある部屋(スナック?)、倉庫(扉を開けるだけ)、人形を見た広い部屋、刑事と遭遇するところ、トイレ(倉庫と同じ場所の可能性が高い)の計6現場として、死刑執行ニュースでは7人を殺害と言っているので、ラストシーンの屠殺場2人目で計算が合いそうだけど、果たして...。
クライマックスをむかえる手前のシーンで、2015年に7人殺して、その20年後の2035年(!)に死刑執行されたというニュースが聞こえる。ということはフミは30歳くらい。あの頃の姿(一張羅)のまま殺人鬼を求めずっと徘徊していたという風に読み取れ、ぞっとしました。ここで心霊的な要素が加わり、これって無間地獄なのでは?という思いが首をもたげてきます。またそのニュースが流れているところで左眼に眼帯をした女性が首を括ろうとしています。2035年のリアルフミ?
ということで、フミの心象風景は謎の部分が点在していてなかなかすんなり1本の線につながらないのですが、虐待されてるこどもの気持ちを簡単に理解したつもりになられても困るということなのかもしれません。と、自分は受け取りました。
もうこんな児童虐待なんてどこにも無いよ、と言い切れる時がくるまで永遠にループし続ける映画なのではないでしょうか。圧倒的強度。

つい骨なしチキンTシャツを作ってしまった。
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