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CANDLE OF THE DEAD

日々のカリソメ・ブログ

2016年

12月11日

(日曜日)

『無垢の祈り』

いじめ・虐待でどこにも居場所がない絶望した女の子が、近所の廃工場とかで起きてる連続殺人事件の殺人鬼にひたすら会いたがるお話。

一部グロテスクなシーン(殺人犯による解体)があるけど、内容は全篇、虐待されている女の子フミの心象風景です。
フミを演じるのが唯一手を上げたスターダストの福田美姫。性的虐待描写もあるこんな役をよく受けましたね、と義父役をやったBBゴローさんが仕事で関わりのあるももいろクローバーZのマネージャーに聞いたところ「無名の子役が芦田愛に対抗するにはインパクトのある役をやるしかない」的な答えが返ってきたそうです。スターダストちょーエライ!
義父からの暴力で痣だらけ、風呂でねちねち説教、さらに性虐待で心身ともにズタボロになる役柄を当時9歳が演じているので撮影中はもちろん撮影後も心配になりますが、撮影中は母親同伴でしっかりケアしカメラが止まると元気いっぱい、非常に衝撃的でシリアスなラストシーン撮影直前に「コアラのマーチたべたーーーーーい!」といったりお母さんもとてもエキセントリックな方で、現場では役者の分の弁当を勝手に食べていたとのこと。この頼もしさはすばらしいですね。

フミのキャラクター、一度見たら忘れられない圧倒的な眼力は「先生を流産させる会」のミヅキを彷彿させます。あちらも自主映画でカナザワ映画祭ジャパンプレミア、タイトル通りインモラルな内容で上映の危機がありました。ミヅキのバックグラウンドは劇中でほとんど語られませんが案外フミに近い境遇なのかも...と思いました。

フミはズタボロの生活から抜け出したいため母親にすがりますが、この母親もひどい旦那のせいでだいぶドン詰まっていて、よくわからない宗教にすがりカルマがどうこう言うだけで全然当てになりません。あげくには義父に性虐待されてる実の娘に嫉妬心を爆発させるというどうにもならない存在。『片腕マシンガール』『ヘルドライバー』でめちゃくちゃかっこいい悪役を演じた下村愛(穂花)がものすごい形相でフミに怒鳴り散らす姿は強烈。そこからの義父の不意打ちクラッシュのリレーコンボでもう勘弁してくれー、ってなります。

で他に頼りになりそうなのはいないのか?ってことでフミ唯一の友人っぽい若い女性のトモちゃんは車椅子だしリストカット痕が痛々しいしもし事件に巻き込まれたらナイフがあるから大丈夫とか言っている。神社に神頼みも効果なさそう、交番に駆け込むこともしない。誰にも助けを求めることができないし、しない。ようやくまともそうな刑事が出てきても「あの子は世間をケツの穴までわかっている」と言わしめてしまう。もうあとはまだ見ぬ殺人鬼しかいない。これはものすごい暗黒だ。
原作にはこの刑事の台詞はないです。刑事を演じた平山先生のアドリブらしく、よりフミの悲しみが増すいい台詞だと感じました。わたくしボロ泣き。

で、願いまくった頼みの殺人鬼はフミの前に現れるのか。タイトルの「無垢の祈り」とはどんな祈りなのか、なのですが、原作とはかなり違う凄まじいラストがご用意されていました。フミが映画の頭のほうで母親に言った「(この地獄は)いつか、終わる...?」の言葉と相まってわたくしはひどく打ちのめされました。
1回目見たとき、自分がこれまで見た映画で1番監督の悪意がスパークしてると感じた「パンズ・ラビリンス」のラストを思い出したのですが、「無垢の祈り」は2度3度見るうちにそれをちょっと超えちゃってると思いました。
「パンズ・ラビリンス」は主人公オフェリアの空想パートと現実パートがそこそこはっきりしているのでとてもわかりやすく、ラストで主観的に救われる分、全部を見せられた客はショックが大きいのですが、「無垢の祈り」はそこがあいまいで、決して終わらない地獄のように感じさせられました。




ここからすごくネタバレ

倉庫にチャリで乗り付けたフミが扉を開けようとするところで、トイレで殺人鬼が被害者を解体してるのがカットバックで入り、物音で誰かの存在に気づくようなそぶりを見せる。新聞やニュースの情報で廃墟を回っているフミが同時に殺害現場に行くのはおかしいので別の場所かなぁ、と冷静にかんがえればそう思うんですが、すごいスリリングです。

冒頭おっさんにイタズラされるところと、中盤くらいに殺人鬼とすれ違うシーンでフミは左目に眼帯をして頭にガーゼを貼っています。ラストで義父に左眼をつぶされ、殺人鬼の一撃を喰らった後で時系列をシャッフルさせているとも取れます。冒頭のおっさんは置いておいて、殺人鬼とすれ違うところは1度会っててアレは不自然なのでちょっと意図がわかりません。生き延びたフミが頭の中で理想の殺人鬼像にしただけな気もします。

フミが訪れる殺害場所である廃墟は屠殺場(チャリンコGET)、ビル屋上(何かを拾う)、イスのある部屋(スナック?)、倉庫(扉を開けるだけ)、人形を見た広い部屋、刑事と遭遇するところ、トイレ(倉庫と同じ場所の可能性が高い)の計6現場として、死刑執行ニュースでは7人を殺害と言っているので、ラストシーンの屠殺場2人目で計算が合いそうだけど、果たして...。

クライマックスをむかえる手前のシーンで、2015年に7人殺して、その20年後の2035年(!)に死刑執行されたというニュースが聞こえる。ということはフミは30歳くらい。あの頃の姿(一張羅)のまま殺人鬼を求めずっと徘徊していたという風に読み取れ、ぞっとしました。ここで心霊的な要素が加わり、これって無間地獄なのでは?という思いが首をもたげてきます。またそのニュースが流れているところで左眼に眼帯をした女性が首を括ろうとしています。2035年のリアルフミ?

ということで、フミの心象風景は謎の部分が点在していてなかなかすんなり1本の線につながらないのですが、虐待されてるこどもの気持ちを簡単に理解したつもりになられても困るということなのかもしれません。と、自分は受け取りました。
もうこんな児童虐待なんてどこにも無いよ、と言い切れる時がくるまで永遠にループし続ける映画なのではないでしょうか。圧倒的強度。

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つい骨なしチキンTシャツを作ってしまった。




2014年

11月18日

(火曜日)

ネクロMAD

ポストブラックやダークウェーブの要素を持つ女性4人組、暗黒系アイドルユニットNECRONOMIDOL(ネクロノマイドル)がセカンドシングルの発売を記念し11月15日にリリースイベントをdues新宿で開催した。

ライブは11月12日リリース「霊魂消滅」に収録されている「KHOLAT SYAKHL」からスタート。メンバーは独特の曲調にあわせてパフォーマンスを展開、続く2曲目は先日のTRASH-UP!!まつりで初お披露目された「Skulls in the Stars」を披露。さらに自己紹介を挟んでオリジナル曲を連発し、集まった観客にNECRONOMIDOLの楽曲をアピールした。

なお彼女たちは、今月末11月30日には東京・高円寺マッチングモヲルで初の写真集「VOID」発売イベントを実施。詳細は追って アナウンスされるので続報に注目しておこう。




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と前置きがとても長くなりましたがネクロノマイドルのライブ音源でMADをつくりました。
夏に市場ジャケきっかけで観に行ってみたらまさかのクトゥルー・アイドルでとてもびっくりしました。




2014年

03月31日

(月曜日)

『パズル』

飛び降り自殺が起きた学校で謎のひまわり仮面による殺人ゲームがはじまってその町の人たちも巻き込まれる話(なんだけど基本犯人目線で話が進む)。

『先生を流産させる会』という最凶教育映画を作った内藤監督が『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『Anotherアナザー』に続く角川アイドル映画を!といっても観るまでは全然アイドル映画とは思わなかったです。
原作が全然興味ないベストセラー作家の人ですしこの手の安っぽそうな不条理殺人ゲーム映画は去年の『ジョーカーゲーム-脱出-』くらいしか観たことないのでアレでしたがロフトプラスワンのホラー映画イベントで柳下毅一郎さんが内容をふせてプッシュしてたのでかなり期待して観ました。がその期待値を軽く超えてきて、結果5回もヒューマントラストシネマ渋谷に通ってしまいました。原作知らないけど「原作の内容を9割改変した」的なことを名古屋の舞台挨拶トーク動画で監督がいってたのでタイトルだけ借りた完全オリジナル作品といってもいいんじゃないでしょうか。

ということで映画のいいところは何言っても大体ネタバレになっちゃうので実際に観て驚いて欲しいです。映画で描かれる49日のなかで夏帆演じるヒロインの中村が変化する瞬間で主人公の湯浅とシンクロできたら絶対感動して震えるし自分にとっては大好きないろんな映画を彷彿とさせられるシーンが緻密にぶち込まれた猛毒エンターテイメントです。
爆音上映&サントラ盤希望。






2014年

01月10日

(金曜日)

インシディアス 第2章

前作で霊能者と協力しておばけから我が子を取り戻した一家。その直後ばあさん宅に住みだしたらまたおばけがいたのでとても困る話。

1作目が前半謎解きかと思わせて途中から頭使わないライド感が楽しめた続編。
今回は伏線いっぱい回収しまくりという全然違う映画になってました。なのでライド感はあまりない。
でも相変わらずショッカーシーンはすごいびっくりできて笑えます。カメラ振って戻ったらいきなりお化けがいてアクションするのとかもう笑うしかない。計算し尽くされてるカメラワークがグイグイきて気持ちいいのも1作目と同じで楽しいです(あんまり前作覚えてないけど…)。
が、ネタ的にコワすぎ4トイレの花子さん観た後だともの足りない。シネコンでかかる貴重なホラーにそこまで求めちゃだめなのかな。
あと初日のレイトで観たのに客が6人くらい。前作は学生の集団とかいてリアクション込みで楽しかったのにね。寂しいものです。

2012年

12月20日

(木曜日)

『いま、殺りにゆきます』

きちがいに怖い目に遭わされる女の子の全5話オムニバス。
原作の平山夢明先生のトークとか映画評は大好きなんですが作品はあまり読んでなくて、コチラも原作読まずで観ました。どの話もそれぞれ怖がる女優さんがとてもよくて楽しかったです。1話が戦闘少女のイカ娘、2話がドジちゃん、3話がAVNの紅一点、4話ゾンビアスとか出てたけど今回すごいめいてぃん@東京女子流ぽくてクソかわいかった菅野麻由。5話の子はおっぱいがヤヴァイ。
3話目の度を超したきちがいハイテンション芸のコワ面白さは必見だと思います。ああいう人にいつ襲われるかわからないので各自対策が必要です。観て練りましょう。
1話目のきちがいが最後に発する言葉は全然聞き取れませんでした。逆再生??

2012年

12月13日

(木曜日)

『トールマン』

廃鉱の寂れた町で子供達が失踪しまくってしまう話。シアターN渋谷クローズド作品。
前作『マーターズ』がアレだっただけに残虐描写なしとチラホラ情報が入ってきてましたが、蓋を開けたら同じふうなテーマでとても重たくてどんよりしました。
リメイクテキサスチェンソーでは白タンクトップがエロかったジェシカ・ビールさんですが、今回エロはゼロ。ロジェ監督作品はエロさと対局にいる感じがします(『マザー』は未見)。
でジェシカ・ビールのエロはないけど立ち位置がフラフラでコロコロ転がるストーリーの中、一気に映画の内容がわかるあるシーンでの演技がものすごかったです。ショックだったし涙がこぼれました。
となりでやってた『ザ・ウーマン』のラストシーンと『トールマン』のラストシーン、2人の女性を比較しながら帰りました。

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2012年

11月09日

(金曜日)

ホラー映画ベストテン

去年も参加させていただいた、ワッシュさんのブログ「男の魂に火をつけろ!」年末の映画ベストテン企画、"ホラー映画ベストテン"に参加いたします。今年もよろしくお願いします。結果が今から大変楽しみです!!

1.死の王('90)
2.エンター・ザ・ボイド('10)
3.BUG/バグ('07)
4.アンチクライスト('09)
5.レクイエム・フォー・ドリーム('00)
6.28週後...('07)
7.ノロイ('05)
8.ザ・フライ('86)
9.ディセント('05)
10.オールナイトロング('92)



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